心房細動と診断されたとき、「どんな治療をするのか」「根治できるのか」は誰もが気になるところです。
心房細動の治療は大きく「薬物療法」と「カテーテルアブレーション治療」の2種類があります。どちらが適切かは、症状の程度・持続期間・年齢・生活状況によって異なります。この記事では両者の特徴をわかりやすく解説します。
薬物療法 | カテーテルアブレーション | |
目的 | 症状・合併症リスクを抑える | 心房細動の根治を目指す |
根治の可能性 | なし(対症療法) | あり(約80%の成功率) |
服薬 | 継続が必要 | 減薬・中止できる場合がある |
入院 | 基本的に不要 | 数日〜1週間程度必要 |
再発時 | 薬の種類・量を調整 | 2回目の追加治療が可能 |
こんな方に | まず全員が検討する | 薬で改善しない・根治を希望する方 |
心房細動と診断されたら、まず取り組むのが薬物療法です。薬によって「血栓を防ぐ」「心拍数を整える」「症状を和らげる」ことを目的とします。
心房細動でまず最初に検討されるのが、血栓を防ぐ治療です。心房細動になると血液が心房内でよどみ、血栓ができやすくなります。この血栓が脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こします。
かつてはワルファリンという薬が中心でしたが、食事制限や定期的な血液検査が必要で煩わしい面がありました。現在はDOAC(直接経口抗凝固薬)という扱いやすい薬が広く使われており、多くの患者さんに処方されています。
抗凝固薬は「症状がないから」「調子がいいから」と自己判断で中断すると、脳梗塞リスクが急激に高まります。必ず医師の指示に従って服用を続けてください。心房細動はそのままにしつつ、心拍数が速くなりすぎないようコントロールする治療です。動悸・息切れなどの症状を和らげ、心臓への負担を軽減します。現在はQOL(生活の質)や予後を考慮し、まず優先される治療方針です。
心房細動そのものが起きないようにする、または起きてもすぐに止まるようにする治療です。抗不整脈薬を使いますが、薬の効果には個人差があり、副作用の管理も必要です。
薬物療法は根治ではなく、症状や合併症リスクをコントロールするための治療です。「調子が良くなった」と感じても、医師の指示なく服薬を中断することは非常に危険です。薬物療法で症状が改善しない場合、生活の質が著しく低下している場合、または根治を希望する場合に検討されるのがカテーテルアブレーション治療です。
太さ数mmの細い管(カテーテル)を足の付け根の血管から挿入し、心臓まで送り込みます。心房細動の原因となっている異常な電気信号の発生源を熱で焼灼(しょうしゃく)し、電気信号を遮断する治療です。
心房細動の起源の約85%は肺静脈にあるため、肺静脈周囲を焼灼することが治療の中心となります。
1回の治療での成功率は概ね80%程度です。ただし、1年以上持続している慢性心房細動の場合は成功率が下がります。
約20%の方で再発が見られますが、再発=治療失敗ではありません。
現在、国内で年間約7万例の心房細動カテーテルアブレーションが行われており、高齢の方への適応も増えています。合併症リスクはやや高まりますが、「高齢であることのみを理由に不適当とは言えない」とガイドラインでも示されています。
つらい症状や生活の質の改善、毎日の服薬負担を減らすことなど、年齢にかかわらず治療を検討する意義は十分にあります。
治療法の選択は、患者さんの状態・希望・生活スタイルをもとに医師と相談して決めます。一般的な目安は以下の通りです。
・まず全員が検討する → 薬物療法(特に抗凝固療法)
・薬で症状が改善しない → カテーテルアブレーションを検討
・根治・服薬の負担軽減を希望 → カテーテルアブレーションを検討
・持続期間が短いほど → アブレーションの成功率が高い
「どちらが自分に合っているか」は、持病・年齢・心房細動の種類によって異なります。自己判断せず、必ず専門医に相談してください。・心房細動の治療は「薬物療法」と「カテーテルアブレーション」の2本柱
・薬物療法はまず全員が検討する。特に脳梗塞予防の抗凝固療法が最優先
・カテーテルアブレーションは根治を目指せる治療。成功率は約80%
・再発しても治療失敗ではなく、追加治療で対応できる
・高齢の方でも症状改善・QOL向上のために治療を検討する価値がある
・どちらが適切かは医師と相談して決めることが大切